歯の根元がえぐれる「くさび状欠損」の原因と予防・治療法を解説
2025/12/10
こんにちは。東京都、秋葉原の歯医者スマイルデザインデンタルクリニック秋葉原です。
くさび状欠損は、虫歯とは異なる原因で歯の根元が欠けたりえぐれたりする状態です。
中高年に多く見られますが、若年者でも間違った歯磨き方法や生活習慣が原因で発症することがあります。
今回は、くさび状欠損の発生原因や症状、治療法について解説します。
くさび状欠損とは
くさび状欠損は、歯と歯ぐきの境界付近に生じる非虫歯性の歯質欠損です。
歯の根元がV字型やU字型にえぐれるため、くさびを打ち込んだような外観になることからこの名前がついています。
欠損は主にエナメル質とセメント質の境界で発生し、進行すると象牙質まで達することがあります。
くさび状欠損の原因
ブラッシング圧
過度なブラッシング圧は、くさび状欠損の代表的な原因です。
また、硬い歯ブラシの使用や、左右に大きく動かす横磨きもリスクを高めます。
研磨剤入りの歯磨き粉と過度のブラッシング圧が組み合わさると、摩耗がさらに進みやすくなります。
噛み合わせの問題
噛み合わせの乱れや歯ぎしり、食いしばりといった習癖は、歯の根元に過度な力をかけるため、くさび状欠損の原因になります。
特に睡眠中の歯ぎしりや食いしばりは、無意識のうちに長時間強い力がかかることになるため、歯の根元に微細なひび割れが生じやすく、そこから歯質が削られてくさび状欠損が進行するリスクがあります。
酸性の飲食物
酸性の飲食物による化学的侵食も、くさび状欠損の原因です。
酸性飲食物によりエナメル質が脱灰されると、歯の根元が咬合力やブラッシング圧などの機械的ストレスに対してもろくなり、微細な破折からくさび状欠損が進行しやすくなります。
歯周病・歯肉退縮
歯周病の進行により歯ぐきが下がると、本来覆われていた歯の根元が露出します。
歯の根元はエナメル質よりやわらかいセメント質で覆われているため、噛む力や歯ぎしり、酸などの刺激を受けやすく、くさび状欠損が進行しやすくなります。
くさび状欠損の症状
くさび状欠損は、欠損の進行度や個人差により症状が異なります。
初期では自覚症状がほとんどありませんが、象牙質が露出すると、冷たい水や甘い食べ物、酸性の飲食物に対して鋭い痛み(知覚過敏)が現れるようになります。
その結果、歯磨き時の痛みにより十分なプラークコントロールが難しくなり、歯肉炎や虫歯のリスクが高まります。
また、咀嚼時の痛みで食事が十分にとれなくなることもあります。
くさび状欠損のリスク
くさび状欠損を放置すると、歯の根元が弱くなり、食事中に歯が割れやすくなります。
欠損が大きい場合は、最悪の場合、歯を失うことになります。
また、欠けた部分は歯ブラシが届きにくく、汚れがたまりやすいため、象牙質が露出していると虫歯が進行しやすくなります。
さらに、周囲の歯ぐきに炎症が生じると、歯肉退縮や歯を支える骨の吸収が進み、歯周病のリスクも高まります。
くさび状欠損の治療法
薬剤の塗布
軽度のくさび状欠損や知覚過敏の初期段階では、歯に薬剤を塗る治療が行われます。
一般的にはフッ化物が用いられ、象牙質の管をふさぐことで知覚過敏を和らげるとともに、歯の酸に対する耐性を高めます。
この方法の利点は、歯を削らずに治療できる点です。
ただし、作用には個人差があり、定期的な塗布が必要です。また、欠損が深い場合や歯の形状に問題がある場合は、薬剤だけでは十分な改善が得られないため、ほかの治療と組み合わせる必要があります。
レジン充填
中等度のくさび状欠損には、コンポジットレジンを使った充填治療が行われます。
この治療では、まず欠けた部分を清掃して形を整え、レジンを接着できる状態にします。次に、プライマーや接着剤を塗って歯面を処理した後、欠損部分にレジンを充填します。
その後、光を当てて硬化させ、歯の形や噛み合わせを整えて仕上げます。
この方法のメリットは、歯を大きく削らずに欠損を補えるため、歯の寿命を長く保ちながら自然な見た目に整えられる点です。
かぶせ物治療
歯の大部分が失われた重度のくさび状欠損や、レジン充填では対応できない広い欠損には、かぶせ物による治療が行われます。
材料はセラミックや金属などがあり、部位や希望に応じて選ばれます。
かぶせ物の利点は、歯の機能を補い、見た目も自然なことです。特にセラミックのかぶせ物は天然歯に近い美しさを再現でき、長持ちすれば10~15年程度使用可能です。
一方、健康な歯を多く削る必要があることや、費用が高くなることが欠点です。
くさび状欠損を予防する方法
正しい方法での歯磨き
くさび状欠損を防ぐためには、正しい歯磨き方法を身につけることが重要です。
大きく横に動かす磨き方は避け、爪が白くならない程度の力加減で細かく磨くようにしましょう。歯ブラシの毛は「やわらかめ」か「ふつう」を選び、「かため」は避けるようにしてください。
また、歯磨き粉は研磨剤の少ないものを使用し、毛先に少量だけ付けるようにします。
酸性の飲食物を摂った直後は、すぐに磨くと歯質を傷める可能性があるため、30分ほど待ってから磨くようにしましょう。
歯ぎしり・食いしばり対策
歯ぎしりや食いしばりによる強い力は、くさび状欠損の大きな原因となるため、就寝時にはナイトガード(マウスピース)を装着することで直接的なダメージを防ぐようにしましょう。
日中の食いしばりに対しては、無意識の習慣を改善することが必要です。
パソコン作業や集中作業中にあごに力が入っている場合は、定期的にあごの力を抜くことを意識するようにしてください。
噛み合わせの乱れがある場合は、歯科医院で咬合調整を受けることを検討しましょう。
早期接触や干渉を解消することで、特定の歯への負担を軽減できます。
まとめ
くさび状欠損は、過度なブラッシング圧、噛み合わせの問題、酸性飲食物の摂取、歯周病による歯肉退縮などが複合的に作用することで進行します。
初期には自覚症状がほとんどありませんが、進行すると知覚過敏や見た目の変化、さらには歯の強度低下といった深刻な問題を引き起こすことがあります。
日常生活の見直しと正しいオーラルケアの継続、定期的な歯科検診で歯を守っていきましょう。
記事監修:スマイルデザインデンタルクリニック秋葉原 院長 歯科医師 児嶋 剛
日本インプラント学会 所属
日本歯内療法学会 所属
日本審美歯科学会 所属
日本臨床歯科学会 東京SJCD 会員
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