セラミック矯正って削るの?削らないデメリットも!歯科医が徹底解説
2025/06/10

「短期間で歯並びをキレイに整えられる」
「芸能人みたいな白くて整った歯になれる」
そんな魅力から人気を集めているセラミック矯正。
ですが、一方で「歯を削るって聞いて不安…」「本当に大丈夫なの?」という疑問や不安を抱える方も多くいらっしゃいます。
この記事では、現役歯科医の立場から、「セラミック矯正でどのくらい歯を削るのか」について、丁寧に解説いたします。
また、削る量によって起こるリスクや、削る量を減らすために知っておきたいポイントについても包み隠さず、正直に解説していきます。
そもそもセラミック矯正とは?

「セラミック矯正」と聞くと、「矯正」と名前がついているため、ワイヤーやマウスピースで歯を動かす治療を想像される方もいるかもしれません。
しかし実際には、セラミック矯正は正確には「審美補綴治療(しんびほてつちりょう)」分類されるもので、「本来の矯正治療」とは別の治療法です。
従来のワイヤー矯正やマウスピース矯正と違い、「歯を動かす」のではなく、「形を整える」ことで見た目を改善するというアプローチになります。
そのため、見た目の変化が短期間で得られるのが最大のメリット。
早ければ数週間〜数ヶ月で美しい口元を手に入れられるため、モデルや芸能人にも多く選ばれています。
セラミック矯正ではどのくらい削るの?
実は、セラミック矯正で削る量は 「使う素材」や「治療法」によって異なるため、一概には言えません。
代表的な2つの方法は以下の通りです。
① セラミッククラウン(被せ物)タイプ

歯を全体的に覆うタイプの治療法です。
削る量
およそ1.0〜1.5mm程度(前歯の外側・内側ともに削る)
歯をぐるっと小さく削り、その上にセラミックの被せ物を装着します。
歯並びの大きなズレや、歯のサイズの調整も可能です。
② ラミネートベニア(つけ爪のように前面だけ貼る)タイプ

歯の表面のみを薄く削って、セラミックの板を貼り付けます。
削る量
およそ0.3〜0.7mm程度(前歯の表面だけ)
比較的軽度の歯並びや色の修正に向いています。
セラミックの種類と削る量の関係
セラミック素材の種類によっても、必要な厚みが異なるため、削る量に差が出ます。
患者様のお口の状態や求める仕上がりによって、最適な素材と削る量は変わります。
セラミックの種類 |
特徴 |
必要な厚み(削る量) |
---|---|---|
ジルコニア |
非常に硬く耐久性が高い。透明感はやや少なめ。 |
約1.0〜1.5mm |
E-max(イーマックス) |
審美性が高く、透明感のある見た目。 |
約0.8〜1.0mm |
ハイブリッドセラミック |
プラスチックとセラミックの中間。削る量は少ないが耐久性はやや劣る。 |
約0.5〜1.0mm |
ラミネートベニア用セラミック |
極めて薄く作成可能。 |
約0.3〜0.7mm |
歯を削る量が多くなると生じるリスクとは?
セラミック矯正において「歯を削る」ことにはリスクが伴います。 特に削る量が多くなると、以下のような問題が起こる可能性があります。
歯の神経に近づき、神経を取る必要がある
深く削りすぎると、歯の中心部にある神経(歯髄)に近づき、知覚過敏や痛みが強く出る場合があります。
その場合、神経を除去して根管治療(歯の神経の治療)を行わなければなりません。これにより、歯の寿命は大きく縮まります。
歯の強度が下がる
歯を削ることで、歯の構造が弱くなります。
特に、クラウンタイプで全周を大きく削る場合、自分の歯だけでの耐久性は大きく落ち、将来的に割れる・折れるリスクが高まります。
二次カリエス(虫歯)のリスクが増える
被せ物と自分の歯の境目から細菌が入り込み、内部で再び虫歯になる(二次カリエス)可能性もあります。
とくに精度の低い治療を受けた場合、このリスクは高まります。
歯を削る量が少なすぎる場合も要注意|無理な「削らないセラミック」は危険
近年、「歯をできるだけ削りたくない」「削らずに歯並びを整えたい」というニーズの高まりにより、極力削らないセラミック矯正を希望される方が増えています。
しかし、歯を削る量が少なすぎると、審美面・機能面・長期的な安定性のすべてにおいて問題が生じることがあります。
以下にその具体的なリスクをご説明します。
不自然な仕上がりになるリスク
削る量が足りないと、セラミックを被せるための十分なスペースが確保できず、被せ物が厚くなる傾向があります。
その結果、
前歯が“出っ歯”のように前に出る
歯が大きく見える
厚ぼったく不自然な見た目になる
といった審美的な問題が生じます。
特に、もともと歯が前に出ていたり、ガタついていたりする方が削らずにセラミックを被せると、見た目の改善どころか逆に悪化することも。
審美歯科の目的は「自然で美しい口元をつくること」ですので、必要な範囲で適切に削ることが大切なのです。
セラミックの破損・脱離のリスクが高まる
歯をあまり削らずにセラミックを被せた場合、セラミックと歯の接着面積が少なくなるため、強度や接着力が不十分になります。
その結果、
かみ合わせの力に耐えきれず、セラミックが欠けたり割れたりする
食事中や会話中にセラミックが外れる
セメントの劣化により浮き上がりが起きる
といったトラブルが起こる可能性があります。
特に、奥歯や強い力がかかる部分では、このような不具合が顕著に表れやすく、再治療のリスクも高まります。
歯ぐきとの境目が目立つ・汚れが溜まりやすい
歯をほとんど削らずにセラミックを乗せると、歯ぐきとの境目が不自然に盛り上がったような形になります。
これにより、
歯ぐきが不自然に見える
食べかすや歯垢がたまりやすくなる
歯ぐきの炎症や出血、口臭の原因になる
といった問題も引き起こします。
つまり、美しさと清潔さを両立させるためには、セラミックが自然にフィットする形に整える必要があるのです。
長持ちしない・むしろ歯にダメージが残る可能性も
削る量が少ないことで一時的に歯の健康を保ったように思えても、その後のトラブルによって何度も再治療を繰り返すことになれば、結果的に歯に大きなダメージを与えてしまうことになります。
たとえば、
セラミックが何度も外れる
下地の歯がむし歯になる
再治療時にさらに多くの歯質を削る必要が生じる
最悪の場合、神経を取ったり、抜歯に至る
など、「削らなかったこと」がかえって将来的なダメージにつながるケースもあるのです。
削らないことが“正義”ではない
セラミック矯正においては、「できるだけ歯を削りたくない」というお気持ちはもっともですが、削らなすぎることで逆に美しさ・機能・健康を損ねてしまうリスクがあるということを、ぜひ知っておいてください。
歯を守りながら自然で美しい仕上がりを実現するには、「必要最小限」に、そして「計画的に」歯を削ることが大切です。
歯を守るために、歯科医が意識していること
セラミック矯正は確かに魅力的な治療法ですが、「歯を削る」という一歩が必要です。
私たちは、患者様の歯の健康を守るために、以下のような点を重視しています。
歯の神経を残す設計
必要以上に削らず、できるだけ神経を温存する形で設計する
セラミックの精度と接着性
被せ物との境目を限界までピッタリに仕上げることで、二次カリエスを防ぐ
CTや模型による精密診断
削る量を事前に正確に把握し、必要最小限の削除量にとどめる
削らない選択肢も提示
歯を削らずに済む矯正治療(マウスピース矯正や部分矯正など)もご提案します
削る前に知っておきたい「選択肢」と「後戻りできない」事実
セラミック矯正は、一度歯を削ると元に戻すことができない治療です。
後悔しないためにも、以下の2点を大切にしてください。
① セカンドオピニオンを取る
複数の歯科医院で説明を受け、自分の口の状態と希望に合った治療法を見つけましょう。
② 目的を明確にする
「見た目を整えたい」のか、「噛み合わせも治したい」のか、「短期間で治療したい」のか——
自分の優先順位を明確にすることで、最適な治療法が見えてきます。
まとめ:セラミック矯正で削る量は“ケースバイケース”。納得できる説明を受けてから
セラミック矯正では、使う素材や仕上がりによって削る量が変わります。
歯を大きく削る場合もあれば、最小限に抑えられるケースもあります。
大切なのは、歯科医師から十分な説明を受け、納得した上で治療に進むことです。
そして、可能であれば「削らない矯正の選択肢」も含めて比較検討されることをおすすめします。
あなたの歯を大切にしながら、美しい口元を手に入れられるよう、しっかりサポートいたします。
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